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オーパルカヌーチームを支える理念 監督 江口貴彦

オーパルカヌーチーム 江口監督

カヌースプリント 強さの理由を探す

「どこまで情報を出しても良い?」
「全部出してもらって良いよ、うちは何も隠してないから」

オーパルカヌーチーム(滋賀県大津市)の監督、江口貴彦とのそんな会話から撮影とインタビューという形でチームを追う事が決まった。
カヌースプリントという競技をやっていればこのチームの存在を知っている人も少なくない。毎年、各年代に上位入賞者を輩出している今や強豪チームだ。偶然特別に基礎能力の高い子が入会し、全国大会で勝つ事はあるだろう。しかし、このチームはそれではない。そう言い切れるほど各年代で子供達が成長しているのだ。

『感謝報恩』という理念

先に断っておくと、練習メニューの公開も監督から許可は出ている。このチームが強い理由を探ろうと考えた時、練習メニューに秘密があるのではと考えるのは自然な事。ただこれまで多くの話を監督と交わす中で、自分が感じたオーパルの強さの理由はそこでは無い。もちろん練習無しに選手の競技力向上は無い。当然練習はする、このチームが強いのは、その練習をどのように取り組むかという姿勢にあると僕は思っている。

オーパルカヌーチームの練習風景 滋賀県琵琶湖

江口:オーパルカヌーチームの考えは理念に全て書いてある。うちの理念は「感謝報恩」。カヌー競技が出来てる事に感謝の気持ちを持つ、もちろん親にお世話になってるし、それ以外にもカヌー施設にお世話になってる、自分がカヌーをする為に、ライバルもそう、友達もそう、審判だってそう、今ある全ての環境に対して感謝の思いを持つ、そしてその恩を返していく。自分はその恩の返し方が重要だと思ってる。例えばメダルを獲るとか、ありがとうって言葉をかけるとか、色んな感謝の返し方はあると思うけど、その中でも自分が一番子供達に伝えているのは頑張ってる姿を見せて、昨日よりも今日、少しでも成長した姿を見てもらう事で恩を返していきましょうという事。

選手の自主性を強く意識した指導方針

オーパルカヌーチームはこの「感謝報恩」という理念を基に、子供達の行動規範、指導方針、保護者の心得が作られている。自分がオーパルの強さの理由と感じた練習に対する姿勢、それは選手の自主性を強く意識したこれらの指導方針の影響が大きいと考える。

■カヌースクールに通っている目的・目標・計画を子ども自身がしっかりと立てる
■考動力を身につける。「考えて動く力」「受け身ではなく自発的に」
■身体の早熟型・晩熟型・平均型を考え、目先の結果にこだわりすぎない
■命にかかわること、大けがに繋がること、ルール違反、モラルの欠如については厳しく指導する
■技術的な部分について基本の指導はするが伸び代を持たせ、自分で気づく事を指導の要点とする
■各年代で求めること
小学校 6 年「自分のことをしっかりと出来る」中学校 1 年「他人のサポート」 
中学校 2 年「指示が出来る」中学校 3 年「自分を客観的に見ることが出来る」
■オーパルにある道具利用については、指導者が選定する 
■「いじめといじりの差」「地域の差」「異文化」を考える
■物事をプラスに捉える力を育む
■「世の中理不尽である」「すべて思い通りにはいかない」「わがままは通用しない」事を理解する 
■指導者がいなくても練習が出来る習慣を身につける。

オーパルカヌースクール 紹介ページ

もちろん、このような理念や指導方針だけで選手の競技力が向上するわけではない。年代に適したトレーニング、技術的な指導が必要なのは言うまでもない。ただ自分が感じたのは、オーパルカヌーチームの日々の練習に対する意識の高さのようなもの。それは選手が自己を分析し、課題を見つけ修正していこうとする力と言ってもいい。指導の様子を見ていても、監督が選手に安易に答えを出す事はない。うまくいかない事があると、何故そうなるのか、先ずは選手の考えを聞く。思考を整理させ、問題がどこにあるのかを自ら見つけられるようサポートする監督の姿が印象的だった。

オーパルカヌーチームの事を知ってもらおうと考えた時、先ず伝えておかなくてはいけないと思ったのが、今回紹介した理念や指導方針といった考え方の部分。このチームに関して言えば、これらの土台があって日々の練習が成立している。練習メニューだけで伝わる事はほんの僅かである。今後これらの理念、指導方針を基にオーパルカヌーチームがどのように成長していくのか、江口監督のインタビューを交え追っていきたい。

オーパルカヌーチームの練習後ミーティング オーパル内

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