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惰性では進まない | 山梨学院大学カヌー同好会 監督 中垣浩平

山梨学院大学カヌー同好会 山梨県精進湖

新たな挑戦

5月下旬、夏日のような山梨県精進湖に彼の姿はあった。山梨学院大学准教授、中垣浩平。彼は監督だった。

指導するのは「山梨学院大学カヌー同好会」。部にも満たない同好会である。その日の生徒は女子3名。高校でカヌースプリント競技を経験してはいるが決してエリートではない。オリンピック委員会専任コ ーチングディレクターや情報科学スタッフとして日本のトップチームに関わってきた彼が何故このような「新たな」と言ってもいいチャレンジを始めたのか。

中垣:2019年の5月から同好会としてスタートした、まだ出来たばかりのチームです。彼女たちのトレーニングは週に6日、今月のトレーニング目標は、【水上での動きとウエイトトレーニングのフォームを固めること】【高強度トレーニングへの慣れ】。

先ず指導を始めるにあたり個別の目標を確認することを行いました。理想としては、目標に対して技術・体力がどの段階にあるのか、課題が何で、何を補う必要があるのかを自己分析してもらい年間の計画をたてるようにするのですが、それらを言葉にして伝えるには知識や経験がまだ彼女たちには不足しているので、1〜2年でそのレベルにはなってもらいたいと思ってます。

データを用いた指導を行う中垣監督

感じた限界とその先へ

中垣: 私はこれまでいかに体力(特にエネルギー系の体力)を向上させるかという視点で水上のパフォーマンスやトレーニングを見てきました。水上での技術水準が一定のレベルにあれば、体力を高めていくことでタイムは向上すると。しかし、スタッフとしてトップチームに関わる中で、そのアプローチに限界を感じたのも事実です。 

もちろん、水上パフォーマンスにおけるエネルギー系の体力の重要性は、今でもその認識に変わりはありません。物理法則を超えて、技術の改善ですべてを解決することはできません。現在は、これに加え技術要素を考慮した体力要素の分析、すなわち「目指す技術があって、それを達成するために必要な体力要素は何か?それを向上させるためには?」を検討しています。 

艇を速く進めるために必要な動きを中心とし、それを達成するために技術的要素・体力的要素の何が不足しているのか、それをどう補うのかという視点でトレーニングを考えています。 

山梨学院大学カヌー同好会の練習指導 山梨県精進湖

一つの仮説を持って、検証していく

中垣: 私の好きな言葉にこのようなものがあります。 

「The definition of insanity is doing the same thing over and over and expecting different results」「狂気(Insanity)の定義=同じことを繰り返し行い、異なる結果を期待すること」 

このチームで大切にしたいのは、「やること全てに一つの仮説を持ってのぞみ、検証していく」というスタイル。多少遠回りすることになるかもしれませんが、仮にその仮説が間違っていたとしても得るものは必ずある。選手には目的なく惰性でトレーニングを行うような事はして欲しくないと思っています。 

この「山梨学院大学カヌー同好会」は私自身のチャレンジでもありますが、学生と共に築き上げていくチャレンジです。一人ひとり目標も違えば課題も違う。チームではあっても、しっかりとした「個」が確立できるような取り組みをしていきたいと思います。

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